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秋山記念生命科学振興財団・理事長 秋山孝二氏に聞く

(財)秋山記念生命科学振興財団は、1987年1月に創設以来、生命科学(ライフサイエンス)の基礎研究を奨励し、研究者の人材育成等のための助成活動を行ってきましたが、昨年より「社会貢献活動助成金」として、市民活動に対する助成を始めました。  今回は、新たな助成事業を始めた経緯や、その後の状況、見えてきた課題等について秋山理事長にお話をうかがいました。

今まで生命料学関係の自然科学分野の助成を行ってこられましたが、このたび2004年より新たにNPO等を対象にした活動助成を始められました。始めるにあたって、なにかきっかけがあったのでしょうか。
特にきっかけがあったからではなく、この財団の設立当初から、21世紀は「ライフサイエンス」の時代であるとして、自然科学にこだわらずに広く社会科学や人文科学をも視野に入れた支援を考えるべきとの議論がありました。 また、北海道という地域に限定した地域中心の助成ということからも、医学・薬学だけではないという共通認識を当時の理事の方々はおもちでした。しかしながら規模も小さく初めてのことなので、最初から大きく手を広げるのではなく、医学・薬学中心の自然科学分野から助成事業を始めました。 その後の低金利による財源的制約により、近年までは自然科学中心でやってきたということです。ですから今回新しい事業を始めるにあたっては、財団の理事や評議員の間にはすでに自然科学以外の分野に対する助成のコンセンサスがありました。  
  また、「生命科学に関する」活動助成とすることによる、寄附行為の変更もする必要はありませんでした。
社会科学や人文科学への視野を当初からおもちであったけれども、それらの研究への助成ではなく市民活動への助成という形で始められたのはなぜでしょうか。
ひとつには「研究助成」という枠を飛び出してみたいということがあったのかもしれません。時代の流れの中で市民活動についての多様な取り組みが北海道の中でも行われているという認識があり、むしろ「研究助成」という枠の中での分野の広がりよりも、生命科学という本来的なテーマに立ち戻ることのほうが、より大きな広がりを得られるのではないか。また財団設立以来の地域への貢献という、もう1つのテーマの影響も強かったこともあります。このところ、「研究助成」への公的助成金は大幅に増加していますし、財源的にきわめて厳しい市民活動の支援という方向に進んでいきました。
新しい対象への助成ということで、注意されたこと、また工夫されたことは何でしょうか。
選考の公平性が重要であり、どういう人に選考をお願いするかにいちばん注意しました。研究助成の場合は既存の研究組織やアカデミックな切り口に依存する形で行うことができましたが、市民活動助成は申請者・団体の活動の実態をしっかり見極める必要があります。 選考委員は、自分でも市民活動家で、実際に申請する立場になったこともあり、かつNPOについての広い知識をおもちの方、おふたりにお願いをしました。   今は2年目ですが、当初の3年間は、申請される方々には「『生命科学』を『生命:いのち』と置き換えて『生命:いのちを育む』という形で理解していただいて、申請者の皆さんといっしょにNPO等を対象とした活動助成のあり方をつくっていきたい」という言い方をしています。    
  選考自体には関与はしませんが、選考には私も同席をして助成の方向性について選考委員と常に議論をしています。  
  選考のいちばんのポイントは申請された活動の内容と実際が一致しているかどうかということですが、例えば事前のプレゼンテーションでそれを把握することもむずかしいと思われました。そこで、この2年間は助成を決定したところへは理事長自らが訪問して、財団の目的や意図するところを説明すると同時に、団体の活動の情報を得るようにしています。
  それでもなかなか連絡がつかないとか、期限までに報告書が上がってこないという団体もありました。私どもの財団としては少ない人員の中ですべてを細かくチェックすることは不可能ですし、そこは信頼関係に依存したいと考えています。
今後の検討課題は?
助成する方法の問題として、研究助成と同じように単年度助成でよいのかどうかということがあります。市民活動の場合は継続性ということも大事で、初めにボンと100万円を出すのではなく、3年間継続して100万円を出すというほうがよいのかもしれない。団体のほうでそのほうがよいというのではあれば、その用意はあります。また、助成する時期もはたして今の時期でよいのかどうか。2,3月の応募で4月に決まるとあと1年間チャンスがないという形が多いので、あえてその時期をずらしたものがあってもいいのではないかという議論もあります。
  とにかく,最初の3年間はいろいろと試行錯誤を重ね、申請者にとって使い勝手のいい助成プログラムにしていきたいと思っています。
市民活動への助成を始めたことで、なにか変化はありましたか?
初年度に助成した団体に来ていただいて、理事・評議員も出席して報告会を行いました。理事・評議員は研究者が多いのですが、市民活動の現場の話に強い感動を受けたと後で語っていました。また実際の活動に対して、調査方法などについては専門家の立場からのアドバイスがあったり、双方の視野が広がるという効果もありました。ですからこの試行3年間が終わったあとに、そのまとめとしてのフォーラムのようなものを開きたいという希望をもっています。   やはり助成後のフォローアップは大切で、出しっぱなしではもったいないと思います。助成の成果は財団の財産というだけでなく、多くの人の前で発表していくことが、双方の刺激になり、価値になっていくからです。それによって秋山財団はこういったテーマについて助成をしているということを市民活動団体の皆さんに知ってもらうことにもなると考えています。